羽幌地域における海鳥保全及び自然資源を活用した地域活性化を目指して

羽幌シーバードフレンドリー(SBF)推進協議会とは?

町役場や環境省等の行政機関のほか、主に羽幌の産業団体、教育機関、離島を含めたまちづくり団体や環境団体などが構成する協議会です。
団体設立の背景
北海道の道北地域に位置する羽幌町は沿海約30kmの場所に世界有数の海鳥の繁殖地である天売島(てうりとう)を有しています。天売島は、絶滅危惧種IA類に該当するウミガラス、ウミスズメ、ほかケイマフリやウトウなど、計8種の海鳥の繁殖地となっています。
羽幌シーバードフレンドリー推進協議会は、海鳥及び海鳥の繁殖地を保全し、地域資源として活用することで羽幌町の地域振興を進めていくために設立されました。

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地域密着型の活動紹介
羽幌高校とのパートナーシップ
地域の自然を守り、次世代に伝えていく人材を育成するため、地元・羽幌高校で「総合的な探求の時間」を活用した様々な授業を展開しています。また、高校生の皆さんに羽幌SBF認証マークのアイディア考案を依頼する等、羽幌高校と協力して取り組みを進めています。

地域での自然環境調査
地域に生息している生きものの種類や数を調べ「生物多様性の見える化」を行い、環境の変化をモニタリングしたり、取り組みのPRに活用したりすることを目的としています。調査は、各分野の専門家のほか、高校生をはじめとする地域の人たちとも協力して実施しています。

助成金を受けての活動
活動① 海鳥混獲対策
海鳥を取り巻く問題の1つに漁業による混獲があります。海鳥の混獲は操業中に突発的・偶発的に起こる出来事であり、報告義務がないため実態の把握が難しく、現在でも基礎情報の把握が十分ではありません。シーバードフレンドリー推進協議会はこの問題の改善に貢献するため、国内でも多く海鳥が繁殖する羽幌地域において、認証事業者等と連携したデータ収集を行う仕組みを導入します。また、専門機関と連携し、情報共有の検討を行うことで、継続的に海鳥の混獲削減を目指すための体制構築に取り組んでいます。
活動状況
これまで専門家により羽幌地域で行われてきた海鳥の混獲削減に向けた活動を整理しつつ、今後協議会で海鳥混獲の基礎データ収集を継続的に行っていくための技術開発及び体制面の整理を進めています。
【技術面】
GIS技術によって野生動物の観察情報を収集・可視化している団体や専門家と意見交換を行い、効率的な情報収集システムを開発しています。

【体制面】
今後協力してくれる漁師の方を増やすために漁師や漁協との打合せ・ヒアリングを重ねています。



活動② 天売島海鳥保全のためのフクロウ巣箱設置プロジェクト
天売島では、海鳥繁殖地や島の海産物の保全を目的として森林再生プロジェクトが実施されています。しかし、天売島に生息するエゾヤチネズミが樹皮をかじり樹木の生育を阻害しています。また、島内には海鳥の捕食者として国外外来種のドブネズミが生息しています。
そこで、天売島に生息するネズミ類を捕食する樹洞営巣型のオオコノハズクの定着を目指すことにしました。代替営巣場所として巣箱を設置することで繁殖数の増加が期待されます。

活動状況
羽幌高校及び天売高校の生徒と協力して活動を実施しています。
【4月 天売島森林再生プロジェクトへの参加、天売島現地調査】
高校生も森林再生プロジェクトに参加し、海鳥の繁殖状況や植樹樹木の被害を知ることで、フクロウの繁殖を誘引する必要性を学びました。


【5月 フクロウの専門家による講義】
根室市自然史博物館に所属している外山雅大氏にフクロウの生態や天売島におけるフクロウ繁殖の重要性、巣箱設置方法などを講演いただきました。
【6月 巣箱の作成】
設置する巣箱を高校生と作成しました。また、作成にあたって、巣箱作成の設計図も作成しました。


【8月 天売島視察:フクロウ専門家】
5月に講演いただいたフクロウ専門家である外山雅大氏から、フクロウが好む森林の特性や生態等に関するアドバイスをいただきました。また、巣箱の設置地点の選定を行い、実際に設置もしてみました。
【9月 天売島の森に巣箱かけ】
羽幌高校生や鳥類の専門家と合同で巣箱の設置を行いました。巣箱を設置する際はフクロウの好む環境を想定しながら設置しました。安全に配慮し、高校生にも実際に設置してもらいました。


シーバードフレンドリー推進協議会の事務局として活動を推進している
羽幌町地域おこし協力隊 行方和之様よりメッセージ
助成金を活用して専門家や地域の高校、また島で活動される方々と一緒に取組を進めることができました。特に島で海鳥の繁殖地を直接体験することができた高校生には海鳥が繁殖する貴重な自然が身近にあるということを知ってもらう良い機会になったと感じております。
天売島には毎年8種の海鳥が繁殖に訪れ、また、その地域に人間も共生しており、世界的に見ても貴重な環境が広がっています。研究者等が頻繁に訪れ、海鳥を見るために多くの観光客も訪れることから、海鳥の自然資源としての価値が非常に高いと考えています。
これからもこうした活動を通じて、海鳥の暮らす場所を守っていくとともに、地域の子ども達にその環境を知ってもらうこと、訪れた方々に少しでも海鳥の魅力を伝えられるように活動を継続していきたいと考えています。

シーバードフレンドリー推進協議会のSNS
ホームページ http://www.seabird-center.jp/sbf/
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