2025年10月に、25年度助成先Hose Space紡を訪問しました。
今回の訪問では、Horse Space 紡で過ごしている馬たちの話や、馬を取り巻く社会的課題、そして2025年7月に発生した集中豪雨による被害についてなど、現地で直接お話を伺い施設の様子を拝見する機会をいただきました。
■Horse Space 紡について
Horse Space 紡は、仲嶺様の深い思いと経験から生まれた施設です。競走馬や乗用馬として人間のために働いてきた馬たちは、心身の不調や高齢を理由に「廃用」とされることが少なくありません。仲嶺様は、そうした現状に疑問を抱き、馬の命と尊厳について真剣に向き合うようになりました。
そのきっかけとなったのは、心身の不調により廃用寸前だった1頭のサラブレッドとの出会いでした。仲嶺様はその馬を引き取り、時間と手間をかけて丁寧にケアを施しました。その結果、馬は再び健康を取り戻し、穏やかな日々を過ごせるようになりました。
この経験を通じて、馬が人のために働くだけではなく、馬自身の幸せを追求できる「馬のための場所」の必要性を強く感じるようになり、Horse Space 紡の設立へとつながりました。ここでは、馬が心身ともに健やかに過ごせる環境づくりが大切にされています。


■助成金を受けての活動
2025年7月に発生した集中豪雨により厩舎および餌置き場は床上まで水が入り込み、馬房も全室が浸水するという深刻な浸水被害を受けました。この浸水により、敷料として使用していたオガを新たに買い足す必要が生じたこと、飼料も水に濡れてしまったことでカビが繁殖し、ほとんどを廃棄することに。さらに、馬たちは一晩汚染された水に蹄や四肢が浸かった状態で過ごしたため、健康への影響が懸念されました。これを受けて、装蹄師に予定外で来訪いただき、蹄や四肢の状態を確認・処置していただく必要があり、この対応にも追加の費用が必要となりました。今回の集中豪雨は馬たちの安全と健康を守るために迅速かつ多方面での対応を迫られる非常事態であったため、当時予定していた飼料置き場の設置にかかる費用ではなく、飼料、敷料(オガ)、装蹄にかかる費用に助成金を充てていただきました。予定していた飼料置き場の設置については必要な資金をクラウドファンディングにて調達することを検討中です。

■Horse Space 紡を訪問してみて
敷地に入ってすぐ目に入ったのは、瓦屋根が印象的な厩舎でした。元々は料亭として使用されていた建物だったようで個室の食事処として使われていた部屋が数棟残されており、歴史を感じます。
仲嶺様が厩舎に姿を見せると、馬は仲嶺様の服の袖をくわえ構ってほしいと言わんばかりの仕草を見せていました。その様子からは、仲嶺様との間に築かれた絆を感じ取ることができました。馬房内は複数の窓が設けられており、通気性に優れていました。自然光も程よく差し込み、馬にとっても過ごしやすい環境が整えられていると感じました。
しかし、仲嶺様のお話によると、現状の施設にはいくつかの課題もあるとのことでした。湿度が高く、カビが発生しやすい環境であるため、衛生管理の面で改善が求められています。また、コンセント周辺にほこりが溜まりやすく、火災のリスクもあることから、安全面でも注意が必要であるそうです。自然災害の対応も含め設備投資は急務であります。
豪雨による被害箇所も見せていただきました。Horse Space 紡がある周辺の土地は勾配が適切に取れていないため、雨水等がすべて馬房内に流れ込んでしまう状況となっていました。一時的な被害対応は完了しているものの、根本的な対策については今後も継続して検討していく必要があるそうです。このような状況は、訪問しなければ見えない現実であり、馬を飼育する現場が自然災害によってどれほど影響を受けるかを実感する貴重な機会となりました。また、馬の福祉や飼育環境の整備が、社会的にどれほど重要であるかを改めて認識することができました。


■代表仲嶺様よりメッセージ
今年7月に災害級の豪雨があり、当施設の厩舎が床上浸水してしまうという水害に遭いました。濡れて汚れてしまった馬たちの餌やオガを大量に廃棄しなければならなくなり、通常の2倍の経費が掛かってしまうなど大変な目にあいました。幸い馬たちに健康被害が出ることなく乗り越えられましたが、想定外の事態を受けてJAC様からの助成金の使用使途変更についてご相談させていただいたところ、とても親身になって相談に乗ってくださり、その結果、水害によって買い直さなければならなかった飼料などの補填にあてることができたことは大きな支えとなりました。 また、いつ豪雨がくるか分からない夏の間は不安も大きかったのですがJAC様の存在に助けられ、とても心強かったです。視察にいらした際にも馬たちを可愛がっていただき、馬という動物の背景についてもたくさんお話ができてありがたかったです。
馬という動物が最期まで幸せに生きていくにあたりJAC様の活動が大きな支えになってくださると強く感じました。感謝いたします。ありがとうございました!
■Horse Space 紡 SNS


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