2024年3月、事務局長宮原が「 NPO法人DOG DUCA(ドッグ デュッカ)」を訪問しました。
当財団でご支援している高齢者の飼育リスク啓発活動について、実際に詳しくお聞きすることができました。
NPO法人DOG DUCA(ドッグ デュッカ) について
DOG DUCAはプロのドッグトレーナーのいる動物愛護団体です。
犬の正しい躾け方、飼い方が周知されない中、殺処分されてしまう犬を救いたいという思いから2001年に犬の保護活動を始めました。その後、保護活動部門を2010年に法人化し、NPO法人DOG DUCAが誕生しました。
近年では高齢の飼い主が犬のQOLを維持できず保護するケースが全体の67%と増加したため、現在は高齢者が犬を飼うことによる犬へのリスクを啓発する活動をしています。また、「シニアドッグ・サポーター制度」を通して、元気な高齢者に行き場のない高齢犬の新しい家族になってもらい、「人と犬のより良い共存社会」を目指しています。
助成金を受けての活動
当財団の助成金は、高齢者及び関係者への飼育リスクの啓発と、飼育困難になった高齢犬の保護費に活用していただきました。
①高齢な飼い主による犬の保護の現状についてパンフレットを配布
2013年の終生飼養の義務化や保健センターでの引き取り拒否の増加により、飼育が難しい状況になっても飼い続け、高齢な飼い主が入院、死去する際に居場所がなくなる犬が増えています。このような現状をペットを飼っている人だけでなくケアマネジャー、ソーシャルワーカー、民生委員などにも伝え、事前にもしものことがあった時の対応をDOG DUCAと相談をする体制を整えています。
今年度は550箇所に啓発物を配布し、セミナーを開催しました。
➁保護活動
高齢者が飼育できなくなるまで飼っていた犬は健康状態がひどいことが多く、譲渡までに多額の治療費と時間がかかっています。10年前と比較すると医療費は4.7倍、施設に残る犬の数は4.2倍になっています。そのため、今回の助成金は治療費や、手術代、予防接種や薬代、療養食に活用していただきました。
現在DOG DUCAでは、高齢犬・医療が必要な犬を26頭飼育し、シニアドッグ・サポーター制度で譲渡可能な犬が13頭いますが、里親希望者が少なく譲渡に至っていません。また、年に40頭前後引き取りを行い、27頭は譲渡に至りましたが、高齢犬の譲渡が進まず、新たに犬を保護することが難しくなっています。とはいえ、状況や状態によっては保護しなくては犬がどうなるかわからないと思う事案もあり保護しています。
啓発活動の成果
『ケアマネジャーの者ですが、冊子を見ました。高齢者の方が犬を飼っています。施設へ入居させないといけないので愛護センターに相談しましたが、殺処分と言われました。身内で探してくださいと。殺処分されるとわかっていて犬を連れて行くことはできません。どうしたらいいですか?』
このような電話がよく入ります。愛情をもって犬と生活していても、自分のこともままならない状況になってしまう。身内にも協力者がいない。支援をする福祉関係の方も仕事とはいえ心苦しい状態になります。
助成金で作った冊子を配布することで、相談をいただき、高齢者の方も高齢犬の子も福祉の職員の方も救うことができています。行政では高齢者の方だけを特別にはできず、殺処分を減らす為に引き取り拒否も認められています。高齢化社会になり、益々高齢者と高齢犬の問題も増えていきます。ドッグデュッカが行う「シニアドッグサポーター制度」が全国的に広まればと日々活動しています。
代表の高橋様よりメッセージ
「シニアドッグサポーター制度」をスタートしてから、高齢者からの高齢犬の保護が想像以上に増えています。発見した時には高齢者の方の生活環境もひどく、犬の状態も病気の治療はされておらず、身体も汚れ、それはそれはひどいものです。いつも「もっと早く何とかできなかったのか」と心を痛めます。なので、ひどくなる前に相談できる所が必要だと考え、JAC環境動物保護財団さんの助成金申請を行い、啓発活動の冊子を作ることができました。犬と生活をする高齢者の方のお世話をする福祉関係の方からの相談窓口になることで、お互いが不幸にならないアドバイスなどもできています。スタートは名古屋市守山区から始めましたが、要望も増えて、名古屋市東区、北区、千種区、名東区と区域を広げています。高齢化社会が進んで行く日本が、今後もっと人にも動物にも思いやりある優しい日本を目指すドッグデュッカの活動にご支援をお願いいたします。
参考URL
・NPO法人DOG DUCA HP
・犬の保護活動について
・譲渡について
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