2025年10月に、25年度助成先認定 NPO 法人 TSUBASAを訪問しました。
■認定 NPO 法人 TSUBASAについて
認定NPO法人TSUBASAの代表の松本様は当時ペット業界で働いており、その中で飼い鳥に関する問題意識に直面、業界内の矛盾や問題を痛感していました。そんな中、アメリカにある鳥の保護団体へ視察をし、現地では飼い鳥の保護や譲渡、そして飼い主への教育を目的としたシンポジウムなどが活発に行われており、鳥の命を守るための仕組みが社会全体で整っていることに驚かれたそうです。しかし、日本ではそのような制度や意識がまだ十分に整っておらず、飼い鳥たちが置かれている現状に強い危機感を抱かれました。
そこで、「日本にも鳥の命を守る仕組みが必要だ」と感じ、任意団体TSUBASAを立ち上げ、鳥の保護や里親探し、そして正しい知識を広めるための啓発活動を始めました。しかし、任意団体としての活動には限界があり、資金・人材・社会的信頼の面で法人格の必要性を痛感。2012年にNPO法人化し、2014年には埼玉県の認定NPO法人資格を取得し、認定 NPO 法人 TSUBASAとしての活動をスタートさせました。TSUBASAは「The Society for Unity with Birds – Adoption and Sanctuary in Asia」(=鳥と調和のとれる社会 – アジアの里親とサンクチュアリ)の略です。 様々な理由から飼い主さんと一緒に暮らすことができなくなったインコ・オウム・フィンチを保護し、新たな里親さんを探す活動を行っており、飼い鳥の適正な飼養に関する情報の提供、学びの場を日本全国で展開しています。
■保護施設を実際に訪問してみて
認定NPO法人TSUBASAの施設1階には、保護活動の一環として運営されているショップスペースが設けられていました。そこには、鳥好きにはたまらない鳥をモチーフにした雑貨やアート作品が並んでおり、訪れる人が夢中になる空間でした。
特に印象的だったのが、「支援の羽」コーナーです。全国のクリエーターの方々が無償で提供してくださった手作り雑貨が販売されており、その売上はすべて鳥たちのために使われているとのことでした。

■認定NPO法人TSUBASAにおける鳥の受け入れと検疫体制
保護施設では、手厚いケアが必要な鳥たちも生活しており、看護室が設けられていました。 認定NPO法人TSUBASAでは鳥を引き取る前に感染症検査を実施し、陰性を確認してから施設へ受け入れます。 たとえ検査で陰性が確認された鳥でも、環境変化によるストレスで免疫が低下し、症状が出ることがあるため、最低でも45日間は検疫室で隔離します。鳥類には犬や猫のような予防ワクチンがなく、感染症は空気感染することがあることから新しく保護した鳥と既存の鳥を隔離して健康状態の観察をする必要があります。
今回の訪問は、施設内で保護されている鳥たちと、それを支えるスタッフの皆さまの姿に触れる機会でした。鳥たちの体重管理だけでなく、年齢・種類・健康状態・性格に応じて、与える餌の内容や量の調整、糞の健康チェックなどを実施しており、鳥たちが良いご縁に結ばれて幸せに暮らせるように日々のケアを通じて心と体の準備を整えているのだと感じました。


また、保護活動にとどまらず、広く社会に向けて鳥類に関する正しい知識の普及を目的とした啓発活動も積極的に展開をしています。鳥好きが集うイベント「愛鳥祭」では、鳥の飼育に関する情報提供やグッズ販売や講演会などを通じて、学べる場を提供。「バードライフアドバイザー認定講座」では鳥の飼育に関する正しい知識を持った人材の育成にも力を入れ、飼育放棄や不適切な飼育の防止に繋げています。
認定NPO法人TSUBASAの活動は、鳥たちの命を守るだけでなく、人と鳥がよりよい関係を築いていくための大切な土台を作っていました。保護や譲渡、啓発活動、そして人材育成、どれも簡単なことではありません。それでも、ひとつひとつ丁寧に取り組み、たくさんの命と向き合っている姿勢を感じました。
まだまだ課題や苦労もあると聞いていますが、それでも前向きに活動を続けている認定NPO法人TSUBASAの皆さんの想いがこれからも多くの人に届き、活動の輪が広がっていくことを願っています。


■今後について
現在、保護鳥の受け入れにおいて重要な役割を果たす検疫室が満室となっており、新たな受け入れが困難な状況にあります。この課題を受け、今後は保護だけでなく、より次につなげる(譲渡)活動の強化をしていきたいとのことです。
また、飼育、運営の面では鳥との関わり方だけでなく、観察力、判断力、管理記録の正確さやチーム連携など多岐に渡るスキルが求められます。そのため若手スタッフがベテランスタッフと同じ水準で飼育・運営ができるよう、日々の教育を強化することも大事なテーマだとお話されていました。
■代表松本様よりメッセージ
TSUBASAの活動に関心を寄せ、実際に足を運んでくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。私たちが日々向き合っているのは、単に「保護された鳥」ではなく、それぞれの背景と物語を抱えた大切な命です。人の都合で居場所を失う鳥たちが、もう一度「安心して羽ばたける未来」を取り戻せるよう、一羽ひとはねに向き合う姿勢を大切にしています。
TSUBASAは、保護や譲渡だけでなく、正しい知識の普及、人材育成、社会への啓発を柱に、「鳥と人が無理なく共に暮らせる仕組み」を築きたいと考えています。これは私たちだけでは成し得ません。支援者の皆さま、活動に共感してくださる方々、学びに来られる多くの飼い主さん…そのひとつひとつの想いが、鳥たちの未来を形作ります。課題は尽きませんが、それでも前を向き続けられるのは、皆さまの温かい応援があるからです。これからも鳥たちの声なき声に耳を傾け、社会全体で命を守る文化を広げていくため、一歩ずつ歩んでまいります。


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