2026年4月、25年度助成先であるNPO法人ねこと人と地域のいのちをつなぐ会(沖縄県)を訪問した。同法人は、個人で活動していた有志が集まり、より多くの猫を救うために立ち上げられた団体で、任意団体からNPO法人、そして認定NPO法人へと発展してきたとのこと。
主な活動は、読谷村内の飼い主のいない猫のTNRや見守り、動物福祉の啓発、自治体へのTNR予算確保の働きかけである。これらに加え、施設の自走を目指し、保護ねこ食堂「のらや」やレンタルスペース事業も行っている。
■第一印象
施設に入ると、正面に広いガラス張りの猫部屋があり、来訪者の目を引く。猫たちはそれぞれのペースで過ごしており、遊ぶ子、眠る子、隠れて休む子など、自由で落ち着いた環境が整えられていた。猫の自然な姿を眺めながら食事ができる空間は非常に魅力的で、訪問したのが定休日でなければ、視察であることを忘れて食事を楽しみたくなるほどの雰囲気だった。


■シェルター内の環境
シェルター内に案内いただくと、猫たちが積極的に寄ってきた。猫たちが人に慣れており、日頃から適切なケアが行われていることがうかがえた。
施設内には、感染症のある猫のための部屋、重症の猫をケアする部屋など、状態に応じた専用スペースが整備されており、猫の健康と安全を最優先にした「ネコファースト」の環境づくりが徹底されていた。
各部屋の猫たちの背景やストーリーについても丁寧に説明いただき、個々の命に向き合う姿勢が強く感じられた。
■代表の姿勢と組織運営
代表の伊波さんのお話の主語は常に「猫」「仲間」「お世話になった方」であり、ご自身の苦労を語ることはほとんどなかった。行政との連携、重症猫のケア、啓発イベントの実施など、多岐にわたる活動を行っているにもかかわらず、語られるのは周囲への感謝ばかりであり、その姿勢に深い誠実さを感じた。
SNSに投稿されていた次の言葉が象徴的である。
「保護ねこ食堂のらや店を訪れる人が美味しいご飯を食べて満足して帰るその対価はシェルターの猫たちを支え、どこかで助けを必要としている猫たちを救うことにつながる猫も人もおなかいっぱいに、幸せにそんな関係が築ける場所を目指します」
この言葉からも、自分の喜びよりも、猫や周囲の人たちが幸せであることを大切にしている姿勢が伝わってくる。その自然体の在り方が、活動の温かさにつながっているように感じた。

■収益事業「保護ねこ食堂のらや」について
「のらや」はシェルターの自走運営を支える収益事業として位置づけられており、猫カフェとは異なり、飲食を主軸とした一般向けの食堂である。売上はシェルター運営費や医療費、TNR活動の継続に充当されており、補助金に依存しない持続可能な運営体制の構築を目指している。
なお、同施設は無制限な保護や持ち込みを受け付ける場ではなく、TNR活動中などで、やむを得ず保護した猫の適正管理を行うことを基本としている。適正頭数を維持しながら、行政と協働した地域猫対策を進めている。

■視察を終えて
施設はとても清潔で、猫たちが安心して過ごせる環境が整えられていた。医療面でも動物病院との連携が取られており、日々のケアが丁寧に行われている様子がうかがえた。
また、収益事業を通じて自走を目指す取り組みは、地域猫活動を継続していくうえで大切な工夫であると感じた。行政との協働のもと、地域に寄り添いながら活動を丁寧に積み重ねている団体であるということが強く伝わってきた。

■代表伊波さまよりメッセージ
私たちNPO法人ねこと人と地域のいのちをつなぐ会および「保護ねこ食堂のらや」へご訪問いただき、さらに丁寧なレポートとしてご紹介いただき誠にありがとうございます。
日々の活動の中で私たちが大切にしている「猫も人も安心して暮らせる地域づくり」への想いや、猫たちの環境、仲間たちと積み重ねてきた取り組みを、このように温かく受け取っていただけたことを大変嬉しく感じています。
私たちの活動は多くの方々のご理解、ご支援、ご協力によって支えられています。JAC環境動物保護財団さまの助成を通して保護・医療・TNR活動だけでなく、地域へ向けた啓発や持続可能な運営づくりにも取り組むことができています。
収益事業の一環としてたちあげた「保護ねこ食堂のらや」は、単に“猫とふれあう場所”ではなく、人が美味しい食事を楽しんでいただくことで、結果的に猫たちのいのちを支えることにつながる場所を目指しています。
これからも猫と人、地域が無理なく共生できる社会を目指し、一つひとつの命と丁寧に向き合いながら活動を続けて参ります。
改めまして、このような機会をいただき心より感謝申し上げます。


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