2026年7月、盛岡市動物公園ZOOMOを訪問しました。
ZOOMOは2023年から2026年の4年間、当財団が毎年助成を行っている動物園です。
今回の視察では、これまでの助成内容に関連する動物種「ニホンツキノワグマ」「ニホンイヌワシ」「アフリカゾウ」の獣舎を中心に、園内全体を見学させていただきました。
■盛岡市動物公園ZOOMOについて
ZOOMOは「人と動物と自然が共生する動物公園」をコンセプトに、動物福祉に配慮した飼育展示を行っています。園内はおよそ37ヘクタール(東京ドーム約8個分)の広大な敷地を有しており、その約3分の1が飼育エリアです。非常に緑が多く自然豊かな場所で、人も動物も穏やかでゆったりとした時間を過ごすことができる空間となっていました。
2023年4月にリニューアルオープンした際には、園内の構造や展示施設が大きく見直されています。動物福祉の向上はもちろん、来園者が自然の中で動物をより身近に感じられる環境に整備されました。

■助成金を受けての活動
【ニホンツキノワグマ】
2023年の助成で作成いただいたシリアスゲーム「クマと僕らの物語」の実物を見せていただきました。このシリアスゲームは、ツキノワグマと人の共生をテーマとしており、プレイヤーはクマと人が安全に暮らせる地域をつくることを目指してゲームを行います。
岩手県内ではメディアにも取り上げられ認知度が高まり、地域の児童館に寄贈したり、高校生の文化祭や岩手県の環境事業にも活用されたりして、老若男女を問わず広く親しまれています。

ZOOMOのニホンツキノワグマ舎には、“姫(ひめ)”と“リオ”の2頭のメスがいます。
2026年の助成では、動物園での冬眠QOLを向上させるため、赤外線カメラの導入に助成しました。
今回の見学時は、夏の活動期間中の姫とリオの姿を見ることができ、気温27度の晴天下でも、木陰や穴に潜って涼みながら穏やかに暮らす様子が伺えました。飼育場のフェンスからはミストが放射されていて、暑さ対策もしっかりなされていました。

【ニホンイヌワシ】
2025年の助成で、巣台屋根の設置工事に助成しています。この助成は、絶滅危惧種であるニホンイヌワシの飼育下繁殖と域外保全のため、高病原性鳥インフルエンザの感染リスク軽減を目的としています。

ZOOMOでは、2026年3月にメスの“空(そら)”、オスの“出羽(でわ)”の間に2羽の雛が誕生しており、今回の見学では巣台の様子を伺いました。巣台の屋根は、感染症対策だけではなく雨除けも兼ねることができ、効果的に活用いただいています。
その他にも、ネズミが鳥インフルエンザを媒介してしまうリスクを鑑み、イヌワシ舎内のフェンスはネズミが通れないサイズの網の目で囲われている様子も確認することができました。

【アフリカゾウ】
ZOOMOにはメスのアフリカゾウ“マオ”が暮らしています。2024年度では、自動給餌器の導入に助成をいたしました。
ZOOMOの飼育員の方は、特定の動物種を固定で担当するのではなく、ローテーション制で様々な動物種を担当しているそうです。しかしながらゾウに関しては非常に高い知能を持ち、個体との関係性を重視する動物のため、同じ飼育員が10~20年という長い期間を経て信頼関係を築き、飼育にあたっています。

視察中、15時のトレーニングの様子を見せていただきました。飼育員の方がマオに向けて「肢、腹、反対」など声をかけると、マオがその声掛けに応じて順番に肢を差し出し、飼育員の方がホースで洗います。爪には蜂蜜を塗り、保湿と殺菌を行います。マオと飼育員の方の長年の絆を感じる、非常に感動的なコミュニケーションでした。
助成した自動給餌器は、朝晩の20分間、1分毎にタイマーがセットされていて、自動で給餌がなされます。特に早朝は、常同行動と言われるストレスサインの発現が起きやすいと言われていますが、自動給餌器の導入後、常同行動の軽減が確認できたことをお伺いでき、大変嬉しい限りです。

■視察を終えて
ZOOMOに到着すると、まず一番に目に入ってくるのが園の入り口までの道のりに書かれたメッセージでした。様々な動物の形をした看板に、ZOOMOから来園者へ「人と動物と自然の共生」を問いかけるメッセージが並んでいてこれからZOOMOを訪れる人たちの期待感が高まっていきます。
園内には動物に配慮した様々な工夫がちりばめられていました。飼育エリアが全体的に動物を見上げる構造になっているのは、来園者が動物を上から見下ろすことで与えてしまう心理的負担を軽減するためです。こうした工夫は、ZOOMOの職員の方々が日々動物たちと過ごす時間の中で積み重ねられた気づきと努力の賜物であると感じました。
施設内を隈なくご案内くださった荒井様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

■荒井様からメッセージ
JAC環境動物保護財団様には、4年連続で当園の環境教育活動や動物福祉向上のための取り組みに助成をしていただき、心より感謝申し上げます。
施設単体では予算化の難しい様々な取り組みを実現することができ、その効果は動物福祉の科学的評価や、国内希少野生動物の飼育下繁殖の成功といった目に見える形で表れています。
これからも飼育環境の改善と飼育技術の向上に努め、動物たちがこれまで以上に心身共に健康に暮らせる環境を目指すとともに、地域の生物多様性保全と環境教育の拠点として、人と動物のより良い関係に向けて取り組んでまいります。


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