2023年12月、理事長田崎ひろみと事務局長宮原が「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)」を訪問しました。

当財団でご支援しているプロジェクト『ペット利用される野生動物の消費者行動変容キャンペーン』についての活動状況や、WWFジャパンの活動内容について詳しく伺い、とても有意義な情報交換の機会となりました。

 

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)について

WWFは100ヵ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。人と自然が調和して生きられる未来を目指して、サステナブルな社会の実現を推し進めています。
WWFジャパンでは「ペット利用によって危機に晒される野生動物をゼロにする」ことを目標に、2026年までに消費者が野生動物のペット飼育の問題を認識し、責任あるペット購入・飼育を選択することを目指しています。
さらに、そうした声を意識したペット取引事業者が責任ある動物の調達を行うとともに、行政への政策提言を通じて脅威に晒される野生動物がワシントン条約や国内法で保護されることも目標に掲げ、活動を続けています。

餌の鶏頭を食べるコツメカワウソ
硬いものをかみ砕くという本能を満たすため、動物園では鶏頭を与えています。
気性の荒いスナネコ(写真提供:那須どうぶつ王国)
野生のスナネコは、昼夜の気温差が大きく、乾燥する砂漠地帯に生息しています
(写真提供:那須どうぶつ王国)

助成金を受けての活動

当財団からの助成金は、フクロウ目の取引調査と消費者意識調査の実施に活用していただきました。

①フクロウ目の取引調査

2022年8月に開始したキャンペーン「飼育員さんだけが知っているあのペットのウラのカオ」の追加候補種であるフクロウ目の取引調査をしています。日本でのフクロウ目の取引状況を明らかにし、絶滅や違法取引のリスクの有無、深刻度を把握し、キャンペーン設計の検討材料として活用することが目的です。
これらの取り組みは、WWFジャパンが独自に作成、運営するエキゾチックペットガイドの拡散や業界変容、規制強化の働きかけの後押しにもなると期待しています。
フクロウ目の取引調査を通して、日本はフクロウ目のトップ輸入国であることや、さまざまな種類のフクロウが日本の市場に流通していることが明らかになりました。

オオコノハズク         メンフクロウ           フクロウ

➁消費者意識調査の実施

オンラインアンケートやインタビュー調査を実施し、飼育意向者のフクロウ目を中心とした野生動物のペット飼育に関する意識や情報源等を把握し、キャンペーン改善へのインサイトを得ました。
調査結果から、飼育意向者はコンテンツの視聴によって密輸・絶滅などのリスクを表面的に理解するものの、「飼わないこと=その動物をさまざまな危機から守ること」であるという理解との結びつきが不十分であることや、「自分は飼わない」という認識を持っても、「誰もが飼うべきではない」という「一般常識化」にまでは至っていない可能性が高いことが分かりました。

ペット利用される野生動物の消費者行動変容キャンペーンの拡散イベントの実施の様子

野生動物のペット飼育には、絶滅や違法取引を助長する、生息地に近い環境を整えられず飼育個体に負荷を与える、といったリスクが伴います。野生動物との向き合い方を見直すことが、動物の命や健康を守り、生物多様性の保全につながります。

 

●「飼育員さんだけが知ってるあのペットのウラのカオ」
飼育意向者が最も関心を寄せる「飼育の難しさ」の情報を切り口に、ペット飼育には絶滅や違法取引のリスクが伴うことを伝え、飼育の見直しを訴えています。
https://www.wwf.or.jp/campaign/uranokao

 

●野生動物のペット利用の課題とWWFジャパンの取り組み
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/5099.html

※写真はWWFジャパンからご提供いただきました。