2026年9月、大阪の天王寺動物園へ訪問しました。
JAC環境動物保護財団では、2025年度、2026年度の2回に渡り天王寺動物園へ助成を行っています。
【助成概要】
◇ 2026年度「レッサースローロリスの飼育施設改修」
◇ 2025年度「コサンケイ野生復帰に向けた繁殖プログラム」
今回の視察では、レッサースローロリスのいる夜行性動物舎、コサンケイの飼育エリアの他、ホッキョクグマやアジアゾウなどのいるリニューアルされたエリアも見学させていただきました。それぞれの様子についてご紹介してまいります。
■レッサースローロリスについて
天王寺動物園には現在、雄雌2匹のレッサースローロリスがいます。
夜行性の動物なので、動物園での展示においては、昼は暗く夜は明るい環境をつくる必要があります。視察時、夜行性動物舎の中は必要最小限の赤色光のみで照らされ、ほとんどが真っ暗な環境に保たれていました。
また、室内の温度調節にも工夫が必要で、バックヤード側の通路から冷暖房機を使って季節に応じた温度管理を行っているそうです。

今年の助成で行う予定の飼育施設改修では、渡木やワイヤーロープを設置し、樹上性の動きを引き出します。あわせて、部屋間の移動穴で2匹のスローロリス同士が「近づく・離れる」を自ずと選べるようにし、繁殖成功度の向上も目指します。
レッサースローロリスは2021年を最後に国内での繁殖はなく、飼育頭数も減少する一方で、ペット化するための密猟・密輸問題が顕著になっています。天王寺動物園では来園者への啓発のためポスター掲示を行っていて、今後は飼育舎の外の明るい場所にも看板を設置し、更なる注意喚起を促していくとのことです。


■コサンケイについて
IUCNレッドリストで絶滅危惧IA類に分類され、2000年以降は野外での確実な発見報告がない鳥です。日本は、多くのコサンケイを飼育しており、ベトナムでの野生復帰を見据え、動物園間の輸送時や雌雄同居時の行動データを集めています。


現在、天王寺動物園での展示は3羽、展示外でも7羽が飼育されています。
展示中の3羽の内、2羽は同じスペースで同居していますが、コサンケイは雌雄でも突然けんかが起こることがあり、その原因は判明していません。繁殖期の影響などが考えられるそうですが、今後も慎重に様子を見ながら、集まったデータを分析してマニュアル化を進め、野生生息地であるベトナムでの保全活動にも生かされていく予定です。


■園内全体の様子について
ホッキョクグマやアジアゾウのリニューアルされたエリアはとても広くゆったりとした空間で、あいにくの雨天でしたが、思い思いに過ごす動物たちの様子が非常に印象的でした。その他のエリアでは一部、古い獣舎も残っているそうですが、今後順次改修されていくとのことです。
■最後に
天王寺動物園は、大正4年に開園した日本で3番目に長い100年を超える歴史を有する動物園です。最寄りの駅から徒歩10分ほどですが、都会の喧騒からほんのひととき離れ、のんびりと過ごす動物たちの様子を伺うことができました。
絶滅危惧種の保全や啓発は、動物園が担う大切な役割でもあります。JAC環境動物保護財団は、助成させていただいた両プロジェクトの進捗について、今後も引き続き見守ってまいります。
今回の視察にあたり、園内を案内してくださった井出様へ心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
※掲載写真は、視察時に撮影したもののほか、後日、天王寺動物園より提供を受けたものを含みます。

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